コラボレーション

2023.05.10

自分を美しく魅せるために必要なのは「心の余裕」と「友人からの愛」。エッセイスト・犬山紙子が語る美意識の真髄

イラストエッセイストであり、児童虐待問題に声をあげるチーム「こどものいのちはこどものもの」の立ち上げを行うなど、社会の課題に対する活動にも積極的に取り組まれている犬山紙子さん。今回はsalistyが目指す「所作の美しさ」や、5周年記念のテーマである「感謝」について、犬山さんらしい美意識を軸にお話いただきました。

いちばん目にするものだから、デザインは自分好みであってほしい

本日は宜しくお願いします。

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犬山さん

犬山さん

宜しくお願いします。実は、salistyのスマホケースを使用していたことがあったので、今回お話をいただいて驚きました。

Instagramに載せてくださってましたよね!以前使用いただいていた件については後半にお聞きするつもりでしたが、せっかくお話いただいたので先に伺っちゃいます。まずはsalistyのケースを選んだきっかけを教えてください。

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犬山さん

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ネット検索で出会いました。確か「耐衝撃 グレー iPhone12pro」とかでリサーチしていたような気がします。服に合うようなカラー、かつ、子どもにスマホを触らせることがあるので「耐衝撃」を兼ね備えたスマホケースを探していて。耐衝撃のケースは見た目がしっかりしたものが多くて、おしゃれなデザインのものをなかなか見つけられずにいたので、salistyのケースを見つけた瞬間「やっと見つけたー!」という感じでしたね。

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ご希望に対してドンピシャだったんですね。実際の使用感はいかがでしたか?

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犬山さん

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とにかく頑丈なケースで助かりました。デザインが自分の好みという点も、私にとってはかなり重要でしたね。もともと好きでこだわっていたインテリアも、子どもが生まれてからはアンパンマンやしまじろうに浸食されつつあって(笑)。それはそれで悪くないのですが、スマホという、家の中だと数少ない自分の聖域が、ちゃんと私好みのデザインだと見るたびにホッとできて良かったです。

自分を美しく魅せる最大の武器は、友人からの愛

犬山さんは身に着けるものにもしっかりこだわるイメージがあります。衣装もご自分で選んだものを購入されているとか。

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犬山さん

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こだわりは強い方だと思います。衣装に関して言うと、自分が気に入っている服や、好きなブランドを着ているときって自然と表情が豊かになるんですよ。今は全てセルフでスタイリングしています。

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年齢を重ねるたび、さらにヴィンテージのアイテムに心を惹かれるようになったという

パフォーマンスを上げるために、まずテンションを上げる。大事なことですね。衣装の他に、自分をより美しく魅せるためのお気に入りアイテムってありますか?

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犬山さん

犬山さん

まず、リップ系のアイテムです。ドゥ・ラ・メールのリップとクリスチャン ルブタンのグロス。どちらも誕生日に別々の友人にもらったもので、お気に入りです。

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左:ドゥ・ラ・メールのリップ 右:クリスチャン ルブタンのグロス

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犬山さん

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それから、私の母が亡くなったときに友人が贈ってくれた「HUG(ハグ)」というボディクリーム。

香りも、つけ心地も良いんですけど、心を掴まれた大きな理由は商品の名前です。母を亡くした直後は悲しみや喪失感があって心の整理もつかない状態だったんですが、このボディクリームをつけると愛に包まれているような感じがして。

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uka ボディミルク ハグ

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犬山さん

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つけていると、それこそハグされているときのように癒されていくんです。きっとそこまで考えて、この「HUG」って名前のアイテムを選んでくれたんだろうなあと考えると、愛おしくてしょうがなくなりますよ。

素敵です。美しく魅せるためのアイテムは、どれもご友人からのプレゼントなんですね。

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犬山さん

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自分を美しく魅せられるときって、セルフラブに満ち溢れていたり、愛情に包み込まれていたり、内面的な状態も整っているときだと思っていて。だから、アイテムを通して友人の愛を借りているんです。

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犬山さん

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「内面から美しく」という意味では、私にとって本も大切なアイテムです。こちらは、二階堂奥歯さんという方が綴った日記をまとめた『八本脚の蝶』という本です。「美意識に触れるための本」ということを念頭に置いて本棚を眺めたときに、パッと目に入ったのが二階堂さんの本でした。

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二階堂 奥歯著『八本脚の蝶』 出版:河出文庫

「生産性のない時間」を大切にするということは、「生産性のない状態の自分」を愛すということ

salistyのスマホケースは、使う方の所作が美しく見えることを目指しています。「所作の美しさ」という言葉を聞いたときに、犬山さんはどんなことを思い浮かべますか?

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犬山さん

犬山さん

私が直感的に思い浮かんだのは、おばあちゃんが優しく背中をさすってくれたときの”あの指”や、仲の良い女友達の”言葉の選び方”、話を聞いてくれるときの”傾聴の姿勢”です。

私の友人は共通して「傾聴」ができる人たちで、本当に深く話を聞いてくれるんです。最後までチャチャを入れずじっくりと耳を傾けてくれるのはもちろん、そっと机に置いた手とか、こちらを見つめる目とか、話を聞き終えたあとの言葉選びとか。身体ごと話を聞いてくれているのが伝わります。

それこそ、おばあちゃんの指もそうですけど、私は、何気ないひとつひとつの仕草に対して「所作が美しい」と感じます。人の話を最後まで聞けるって、きっと心に余裕があるってことだから、それがゆったりとした所作として滲み出ているのかもしれないですね。

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「自分がせっかちな分、余計にゆったりした雰囲気の方が魅力的に見えるのかも」と笑顔で話す犬山さん

心の余裕が所作の美しさに繋がっているんですね。心の余裕を確保するために、日々のなかで工夫していることはありますか?

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犬山さん

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「休む時間」をしっかり確保するようにしています。子どもを産んだ直後、育児と仕事を両立できるように自分でスケジュール管理をしていたんですが、「休む時間」を計算していなかったんです。プライベート一切なしの育児と仕事だけの生活では、心がどんどんしおれていきました。「これはやばい!」と感じて、それからはスケジュール帳にまず「休む時間」を書くようにしました。

休むって簡単なことのように思えて、時間に追われているときほど勇気が要ることですよね。

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犬山さん

犬山さん

真面目な人ほど、そう感じてしまうのかもしれません。私は休む時間の大切さを実感してから、休むことに一切罪悪感がなくなりました。むしろ、「私、休んでて偉いな」というスタンスです。

徹夜でゲームやっちゃってる時間、女友達としょうもないLINEをしている時間、夫が昼頃にソファで陽にあたりながらゴロゴロしているのを見て癒される時間.…..。いま挙げたような時間って、仕事に繋がったり直接的な学びになったりすることはほぼ無いんですけど、生きていくために必要な時間なんです。「生産性のない時間」を大切にするということは、「生産性のない状態の自分」を愛すことにも繋がっていきます。

頑張っている自分はもちろん、休んでいる自分も愛することで心の余裕を拡張していくんですね。心を落ち着かせるアクションはありますか?

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犬山さん

犬山さん

色鉛筆を使います。ただひたすらに、紙の上で色を重ねていくんです。自分はどの色が好きかとか、「この色とこの色を重ねるとこんな綺麗な色になるんだな」とか、とにかく色のことだけに集中するので、余計なことを考えないで済みます。

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きっかけは、出演している番組「プレバト!!(毎日放送)」だそう

美意識とは、社会のスタンダードに捉われない自分だから見出せる美しさ

先ほど、所作の美しさに関するお話で「言葉の選び方」というキーワードが出てきました。犬山さんはエッセイストとしても活躍されていますが、普段扱う言葉について意識されていることはありますか?

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犬山さん

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昔は “ネットスラング”に近い言葉を使いがちでしたが、年齢を重ねた今は “奥深い日本語” を使えるようになりたいなと思っています。いろんな本を読んだり、俳句の勉強をしたりしているうちに「こんなにも世界を美しく彩る言葉があるんだ」と感動することが多くて。賢く見せようとして無理に使う難しい言葉ではなく、自分のなかから自然と出てくるような言葉遣いをしていきたいです。

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身近なところで言うと、SNSでの言葉選びも重要ですよね。特にTwitterは言葉がメインになるSNSですが、投稿の際に気を付けられていることはありますか?

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犬山さん

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「自分の発言が差別の可能性をはらんでいる」という自覚は常に持っています。たとえば、つい先日も、牧村朝子さんのラジオを聴いていてハッとしたことがありました。「恋は盲目」という言葉は、盲目という言葉の使われ方が差別的であるという内容のお便りで。確かに「恋は盲目」って良い意味で使うことはないなあと思い。これまで使っていた自分の至らなさを反省しました。

最大限に気を付けているつもりでも、どこかで差別の可能性は生まれているし誰かを傷つけているかもしれない。知らないからこそ生まれる差別は絶対にある、という意識を持ったうえで言葉を選んでいます。

犬山さんらしい、言葉に対する美意識を感じます。

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犬山さん

犬山さん

いえいえ、反省しきりです。美意識と言えば尊敬する方の言葉から練り上げていることが多いなあと思います。美って決して社会が「これが美しいですよ」としているスタンダードだけではない、自分の感受性を育てた先にキャッチできるものだと考えていて。文化や、本、人と触れ合うことで見えてくるものがたくさんあるんですよね。ずっと持ち続けるものもあるし、アップデートしていくものもある、「こんなに美しいものだったんだ!」と増えることもある。

「中年女性としての自分」をなかったことにはしたくない

ところで、Instagramでは別の一面を発信されている印象です。

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犬山さん

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Instagramでは基本的に好きな衣装やコスメについて発信しているんですが、最近「キラキラしていない方のリアルな方の犬山紙子」という新しいアカウントを開設しました。投稿しているのは”ピンっ”と立ってる白髪とか、ノンフィルターで撮影したシミとか肝斑とか、グチャグチャの部屋の写真。アカウント名通りリアルなシーンを切り取っています。

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犬山さん

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表のアカウントで発信していることも嘘じゃないんですけど、“こっちの面”も無いと頑張れないなと思ったんです。さっきの生産性の話と同じですね。キラキラしているときもあれば、髪ボサボサでヨレヨレの家着を着ているときもある。人間の多面的な部分をアカウントで使い分けてみようという狙いがあります。

犬山紙子さんのInstagramの投稿写真抜粋

Instagram「中年女性のリアルの犬山紙子」より(2023/2/28投稿)

面白い試みですね。何かきっかけがあったんですか?

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犬山さん

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2つあります。ひとつは、「10代の女の子がInstagramを見ていると自尊心が下がる」というデータを見たことです。その感覚は、私自身も共感するところがあって。人のキラキラした面ばかり見ていたら苦しくなったり、疲れたりしてしまうのは当然ですよね。だから、あえてキラキラしていない面を載せてみようと思い至りました。実際に、投稿してからは「分かる」とか「うちも一緒!」みたいなコメントをいただいて、逆に私が癒されているところもあります。

もうひとつは、私が大好きな美容ライターの長田杏奈さんの言葉です。彼女が「メディアを見ているとピカピカに磨かれた中年女性は出てくるけれども、加齢したそのままの女性を見かけることはあまりない」とおっしゃっていて、本当にその通りだなと。日常生活のなかではよく見かける白髪の生えた中年女性が、メディア上では 「なかったこと」 にされている。でも、私だって立派な中年女性だし、そういう面をなかったことにしたくないんです。中年女性としての自分もネットに残しておきたくて、中年女性のリアルな様子を発信しています。

関係性は生き物。感謝の気持ちという水やりを続けることで、素敵に育っていく

今回の記事はsalistyの5周年を記念した企画のひとつで、感謝をテーマにしています。犬山さんは感謝を伝えるときに何か意識されていることはありますか?

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犬山さん

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鮮度は大切にしていますね。感謝に限らず、相手の良いところや美しいところを感じたら、すぐに伝えるようにしています。もし、その場で伝えることができなくてもキャンセルではなくリスケ。「伝えずに死んだら後悔する」って思うことは、時間が空いても絶対に伝えるようにしています。

感謝を伝えられる側として、印象に残っているエピソードはありますか?

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犬山さん

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小説家の友人が、私への感謝を手書きで記してくれた原稿用紙は宝物です。その原稿用紙を見ていると「きっとこのインクは彼女が好きなインクなんだろうな」とか想像できて。その人らしさ、それこそ美意識が見えたりするとすごく嬉しいです。

昔は、「欲しいもの?アマゾンギフトカード!」とか言っちゃう即物的な人間だったんですけれども。今はもう、友人が温泉地に行って自分で絵付けしたこけしとか、友人の手作り総菜のおすそ分けとか、そういうのが染みます。

大事な人の大事なものを知れると嬉しいですよね。

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犬山さん

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もうひとつ、夫から伝えてもらってとても胸に響いた言葉があります。ある日、私がヘトヘトでどうにも動けなくなってしまって「今日はごめん、もう無理」って夫に伝えたことがあったんです。すると夫が「自分の体を大事にしてくれてありがとう」って感謝をしてくれて。

夫から私に対する「生きてほしい」と願う祈りみたいなものだと感じて、すごく刺さりました。「あなたがあなた自身を大事にしてくれることが嬉しい」というメッセージを感謝で伝えてくれたんです。大事な人が、自分の体を大事にしてくれるって嬉しいことなんですよね。

「感謝」をテーマに、犬山さんに制作いただいたオリジナルコミックエッセイの画像

「感謝」をテーマに、犬山さんに制作いただいたオリジナルコミックエッセイ

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犬山さん

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「関係性は生き物」なので、ちゃんと水やりをしていけば素敵なものになっていくし、サボってほったらかしてたらしおれていってしまう。感謝の気持ちは、関係性における水やりや栄養分みたいなものなのだと思います。

犬山紙子さんの写真

Instagram「犬山紙子」より(2022/8/8投稿)

PROFILE
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犬山紙子

イラストエッセイスト

仙台のファッションカルチャー誌の編集者を経て、家庭の事情で退職。
20代を難病の母親の介護をしながら過ごす。
2011年、女友達の恋愛模様をイラストとエッセイで書き始めたところネット上で話題になり、マガジンハウスからブログ本を出版しデビュー。
現在はTV、ラジオ、雑誌、Webなどで粛々と活動中。
2014年に結婚、2017年に第一子となる長女を出産してから、児童虐待問題に声を上げるタレントチーム「こどものいのちはこどものもの」の立ち上げ、社会的養護を必要とするこどもたちにクラウドファンディングで支援を届けるプログラム「こどもギフト」メンバーとしても活動中。
その反面、ゲーム・ボードゲーム・漫画など、2次元コンテンツ好きとしても広く認知されている。

WRITER
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この記事を書いた人:

竹本萌瑛子

新卒でヤフー株式会社に入社後、web広告のマーケティング部署で2年半勤務。2021年、株式会社アマヤドリに転職し、SNSをメインとしたプロモーション施策に従事。2023年に独立し、ライター・SNSプランナー・モデルの三刀流フリーランスとして活動中。

ABOUT salisty

キレイ、をつたえる手もとに

salistyは、
「毎日のひとつひとつの出来事を自分らしく謳歌したい」と願うステキな大人女性の魅力をさりげなく引き立てることをミッションに、「美しい所作と心の余裕」を提供するモバイルアクセサリーブランドです。

salisty Interviewでは、
社会で活躍する様々な女性の気付きやマインドを紐解き、その「手もと」にフォーカス。
「ここちよく、美しく、自分を楽しむ」ためのヒントを発信しています。

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